【お知らせ】
Nobody.jp は以下に移転いたします。
新刊「Please Notify the Sun」は新たなサイトよりご注文いただけますようお願いいたします。
(2021年7月末日までこちらからのご注文も受けたまわります。)引き続きよろしくお願いいたします。
https://nobodybooksjp.stores.jp

The Pillar ザ・ピラー
「The pillar(杭)」は、2014年にロンドンからスウェーデン南部に移住したスティーブン・ギルが、夜の森での動物の行動をとらえた「Night procession/夜の行進」(2018年発行)と並行して制作していたシリーズです。
ギルが暮らす田園地帯には広大な平地と空が広がっており、一見すると、そこでは何も起きていないように見えて、実は多くの鳥たちが様々な活動をしていることにギルは気がつきました。そして、「漏斗のようなもので、空を飛んでいるたくさんの鳥から1羽だけを抽出できないか」と考えを巡らせ、最終的に隣家の農夫に「杭を2本立てさせて欲しい」と依頼します。
1本は鳥の止まり木として、もう1本には動きに反応して自動でシャッターを切るカメラを設置しました。「これだけ広い空を飛んでいたら疲れるだろう。この辺りに、休んだり、食事をする場所があれば、鳥は喜ぶのではないか」というギルの思惑通り、餌を置かなくても、鳥たちはこの杭に吸い寄せられるようにやって来ました。数日後、カメラをチェックすると、鳥たちがこれまで見たこともないようなポーズで収められていました。曲芸師のように身体をねじまげた鳥もいれば、翼を誇示するように広げたり、叫んでいる鳥もいます。遠くに木がかろうじて見えるほどの広大な風景の中、光に照らされた柔らかな肢体は優美ながら力強さも感じられます。
ギルは、仕事で国外に滞在しているときさえも、この杭の上で何が起こっているのか、カメラには何が写されているのか頭の中から離れないほど夢中になったと語っています。モノクロとカラーを取り入れ、4年間の撮影を経て、この写真集が完成しました。
★ノルウェー出身の小説家Karl Ove Knausgård (カール・オーヴェ・クナウスゴール) による別冊のエッセイ(英語)付き。
頁数 | 224頁 |
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判型 | 216mm x 270mm、ハードカバー、クロス貼 |
発行 | 2019年 |
価格 | 期間限定特別価格 9,300円 *税抜 (10.230円*税込) |
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Best Before Endベスト・ビフォー・エンド
「Best Before End(賞味期限)」と名付けられたこのシリーズは、近年、エナジードリンク(栄養ドリンク)が増え続けているという現象にフォーカスし、 都市で生活することの苛烈さに内省を促し、何かしらのリアクションを起こそうという試みです。
強力で、隠された危険性を持つこれらの刺激剤は、現代人の生活の要求に応え、かつてないほどの量で販売され、消費されています。 24時間営業の社会は、私たちに疲労することさえ禁じているかのようです。
「Best Before End」で、わたしはイメージに、直接、身体的な存在感を与えようと思いました。そして、カラーのネガフィルムを一部現像し、エナジードリンクに浸してみました。すると、乳剤が柔らかくなり、イメージが変化、分裂していきました。乳剤が柔らかくなったことで、手作業でフィルムの乳剤のレイヤーを伸ばしたり、動かしたり、歪めたりすることができるようになりました。さらには、柔らかなブラシで変化を加えることもできました。使用したすべてのエナジードリンクは、イメージがつくられた場所、イースト・ロンドンで調達したものです。
Stephen Gill
現像処理にエナジードリンクを組み込むことで生まれた、スティーブン・ギルの美しいイメージは、ある奇妙な状態をとらえている。 それは、すぐに何かに駆りたてられるような、そして、水に溶けてしまいそうで、甘いと同時に、とんでもなく苦い。
Will Self(小説家)
★『Cock and Bull』や『Tough, Tough Toys for Tough, Tough Boy(元気なぼくらの元気なおもちゃ)』などで知られるイギリスの小説家(元麻薬常用者でもある)、Will Selfの洒脱なエッセイ(英語)付き。
★ 現在、サイン入り写真集をお送りしています。在庫がなくなり次第、終了とさせていただきます。
頁数 | 72頁 |
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収録図版 | カラー43点 |
判型 | 362mm x 265mm、ハードカバー(シルクスクリーンによるクロス貼) |
発行 | 2014年、Archive of Modern Conflict との共同出版 |
価格 | 10,360円 *税込 |

Talking to Antsトーキング・トゥ・アンツ
このシリーズの写真は、2009年から2013年の間にイーストロンドンで制作しました。 主役を演じている物や生き物も、この地域で手に入れたものです。 それらを、私はカメラの中に置きました。
この方法で、まるで琥珀に埋め込まれてしまった物のように、その場所のスピリットが、 イメージの上をよじ登り、フィルムの乳剤に封入されるよう促すことができたらと考えたのです。 いろいろな物が写真上に出現することで、それらがレンズの前後に同時に存在しているという状態を表しながら、 その地域のフィーリングを喚起する。これが、私の目的でした。
私は、これらの写真はカメラの中で制作されるフォトグラムだと考えたいのです。 カメラの中で、物が衝突したり、調和したりしながら、落ち着いた位置次第で 最終的なイメージがランダムに形成されるフォトグラムなのだと。 Stephen Gill
★ 現在、サイン入り写真集をお送りしています。在庫がなくなり次第、終了とさせていただきます。
頁数 | 72頁 |
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収録図版 | カラー43点 |
判型 | 250mm x 250mm、ハードカバー(シルクスクリーンによるクロス貼) |
発行 | 2014年 |
価格 | 8,900円 *税込 |

Coexistenceコエグジステンス
2010 年の夏、私は、ルクセンブルグのデュードランジュのある地域について作品を制作することに興味があるかと尋ねられました。そこは、荒廃した工業用地の中にある貯水池を含んだ、製鋼業の残骸が残る場所でした。
私にとって、池の体験は十代の頃のものしかありませんでしたが、当時は池に棲む生物に取り憑かれたようになって、寝室でも実験用の白衣を着て、顕微鏡を凝視して長い時間を過ごしたものでした。奇妙で、方向感覚を失う世界の中へと没頭することは私に強い影響を与え、それ以降の私の写真の研究に確実に影響を及ぼしたのです。
私は、デュードランジュの池が、その産業が終わった現在も、目に見えない生命でいっぱいであることを知っていました。1920 年代から2006年まで、池は溶鉱炉を冷やすために使用されていました。小さくても、濃密なコミュニティーは、今は極度な高熱にさらされることなく、形成され、繁栄しているのです。
この地域を初めて訪問するまでの8 か月間、私の心は、だんだんと微視的な世界へと同調し始めました。そして、私は、池の中の模様や変化が私たち人間の社会生活の中でのそれらと多くの類似点があることに気づいたのです。次第に、一見したところ全く異なるこれら2つの世界....物理的には近いけれど、そのスケールが大きく異なる世界を視覚的に近づけることにのめり込んでいきました。共存していてもお互いに属していない、一緒に見る機会も稀なこれらの生命のパーツを共に編んでいくというアイディアに取り組みながら、私は、一種のタペストリーのような作品を制作することに決めました。ルクセンブルグ大学は、私が一滴の水を研究することができるように、彼らの医療用顕微鏡の使い方を教えてくれました。こうして、ケイソウや微生物、植物を探索し始めました。
頭の中でこのシリーズをつくり上げるために絶対に必要だった、人為的要因について考えれば考えるほど、私は、デュードランジュの小さな町からの住民を巻き込みたくなりました。そこには、ポルトガルとイタリアに起源を持つコミュニティーがあるのです。彼らの多くは製鋼業に従事していました。健康上や安全上の理由で、この冷却用の池に来ることを禁止されているので、私は逆に池を人々に届けようと思いました。赤いプラスチックのバケツを池の水で満たし、カメラをその水に浸けました。それから、デュードランジュの住民のポートレートを撮影したのです。その後で、さらにプリントを池に浸しました。こうすることで、微生物もまた印画紙の表面上に移動したことになったのです。
★nobodybooks.jpでの取り扱いのみ、サイン入りポストカード付き(限定45部)
★表紙種に関してはリストをお送りしますのでお選びください。
頁数 | 152頁 |
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収録図版 | カラー90点 |
判型 | 215mm x 280mm、ハードカバー |
発行 | 2012年9月 |
限定 | 1500部 *表紙6種 各表紙250部 |
価格 | 7200円(税込) |
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Outside Inアウトサイド・イン
スティーヴン・ギルが、Brighton Photo Biennial 2010(10月2日〜11月14日)に招聘され、制作した作品をまとめた写真集。今回は、路上で見つけた小さな“もの”たちを、何と、カメラの「中」に入れて撮影した作品です。
アウトサイド・インは、場所そのものに操られ、導かれて制作されました。イギリス南東部にある海沿いの町、ブライトンの断片を掬い集め、文字通り、カメラの内部に入れてつくられています。この作品は、海草や植物、つけまつげ、ジェリーベア(クマの形をしたゼリー状のお菓子)、魚の尾ひれなど、ギルが町の周辺を散歩しながら発見した“もの”から成る非現実的なモンタージュです。琥珀に混入した生物のように、昆虫がフィルムの乳剤の上を這うこともあります。カメラの中の部屋に案内された“もの”たちは、全くランダムに配置され、調和と衝突を生み出すのです。
★サイン入り
頁数 | 64頁 |
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収録図版 | カラー33点 |
判型 | 205mm x 165mm、クロス貼り、ハードカバー |
発行 | 2010年9月, Archive of Modern Conflict、Photoworks |
限定 | 1250部 |
価格 | 4600円(税込) |
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Coming up for Airは、2008年と2009年に日本で制作したシリーズ作品です。日本で撮影したイメージですが、本質的には、日本についての作品ではありません。この写真集のイメージは、架空の水の世界に溶け込むチャンスを与えてくれます。そこで、私たちは、ただ溺れていればよいのです。
この本は、おぼろげなものや、ごく稀に、現実の世界からの音を辿って作られています。「息をひそめて耳を指でふさいで、この現代社会のカオスがミュート(無音)になった状態を想像してみてください。」これまでのスティーヴン・ギルのスタイルとは異なり、イメージから得られる情報は乏しく、完全に打ち消されている場合もあります。それは、目を細めて眺める音のないカオスのようなものなのです。
★1冊1冊の表紙に、印刷用のインクでペイントがほどこされています。
在庫の画像データをお送りしますので、お好きな一冊をお選びください。
頁数 | 106頁(1組の見開き頁を含む) |
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収録図版 | カラー98点 |
判型 | 330mm x 250mm、クロス貼り、ハードカバー |
発行 | 2010年6月末 |
限定 | 4500部 |
価格 | 6,800円(税込) |



The Hackney Ragハックニー ラグ
G/P galleryでの個展「Hackney Flowers」を記念して、art beat publishers(東京)とNobody(ロンドン)が共同出版。ロンドン北東部のHackney地区をテーマに制作したシリーズ(Hackney Wick、Buried、Hackney Flowers、Hackney Flower portraits、Archaeology in Reverse、Warming Down)、新作、未発表作品をリミックスした51枚を収録。
頁数 | 44頁 |
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収録図版 | カラー51点 |
判型 | 515 mm x 380 mm *203 mm x 152 mmの、サイン入りカラープリント1枚付き。 |
発行 | 2009年2月 |
限定 | 1000部(エディションナンバー入り) |
価格 | ---円(税込 |
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Warming Downウォーミング・ダウン
ロンドンの北東、Hackney Wick地区で撮影したイメージに改めて目を向けて、再編集。Hackney Wickの周辺を自転車とカメラと共に取り憑かれたように通い続けた6年の、最後を締めくくる本に(おそらく)なる。15枚のカラープリント、活版と日光でエッチングをしたリノリウム版画が、ハックニー図書館に所蔵されていた楽譜に収納されています。
判型 | 135 mm x 185 mm (楽譜の大きさによるため、多少異なる場合あり)、ハードカバー |
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発行 | 2008年9月 |
限定 | 130部(サイン、エディションナンバー入り) |
価格 | 45,000円(税込) |
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A Series of Disappointmentsア シリーズ オブ ディスアポイントメンツ
このシリーズの被写体は、ロンドン北東のHackney地区にある場外馬券場に捨てられていたさまざまな馬券。この地区に場外馬券場は71店(当写真集出版当時)あり、それは、ロンドンの他地区の平均である23店をはるかに超えている。
これらの紙片は、初めは希望だった。それが、喪失や敗北となり、最後には投げ捨てられた。握り締められ、破られてできたその新しい形は、おそらく、苛立ちや不満から来るその時の気持ちを生々しく表しているのだろう。叶わなかった賭けが、紙の上でくり広げるパフォーマンスをとらえた。
カバーから印刷頁をはずし、展示可能な仕様(印刷頁に釘やフック用の穴付き)となっています。
★カバー3種類。 A.緑、 B.青 C. 赤 *在庫がある場合はお選びいただけます。
★サイン入り
頁数 | 78頁 |
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収録図版 | モノクロ36点 |
判型 | 232 mm x 300 mm、クロス貼り、ハードカバー *リサイクルペーパー使用 |
発行 | 2008年5月 |
限定 | 3000部 |
価格 | 6,000円(税込) |


Archaeology in Reverseアーケオロジー イン リバース
大きな話題となった写真集Hackney Wickの撮影を中断した場所を撮り続けることで、このArchaeology in Reverseは制作された。ロンドン北東にあるその地域は、ギルにとってとても大切な場所である。Hackney Wickのマーケットで手に入れた50ペンスのカメラを使い続け、今回は、未だ存在しないものにフォーカスし、さまざまなものの痕跡と手がかりを取り上げている。2012年のロンドン・オリンピックに向けて、この地域は急激に変容していく。それまでは宙吊りになった場所を、詩的に、そして時には不気味で静かに写しだす、写真による研究である。
「スティーヴン・ギルは習得した。彼に取り憑いた場所に取り憑くことを。彼の写真の集積は、油断せずに、注意深く、熱中しすぎず、偽りの突飛な思い付きや“終止”といった経験を除いた因数分解から生まれた、やわらかな洞察力を示している。そこには、いつも流れや勢い、彼を楽しませる場所を通り過ぎてしまう人たちの意識が漂っている。辞任の意味や早急な誓約、政治論をたたかわせる。そして、彼は自転車に乗って去っていく。ある友人への手紙のように、失くしたものを取り戻すことを愛すこと、決して所有しないこと・・・。私にとってスティーヴン・ギルの魅力は、私たちに必要最小限のものしかくれないところだ。それは、骨の骨の骨、のようなものだ。」
イアン・シンクラー/Iain Sinclair
★サイン入り
頁数 | 114頁 |
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収録図版 | カラー104点 |
判型 | 216 mm x 216mm、クロス貼り、ハードカバー |
発行 | 2007年9月 |
限定 | 3000部 |
価格 | 6,600円(税込) |
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Anonymous Origamiアノニマス オリガミ
2004年から2007年の間に、イギリス、フランス、スペイン、イタリア、ルーマニア、オランダ、ドイツ、ロシア、アメリカ、カナダ、日本のホテルやB&Bで採集された、折られたトイレットペーパーの写真集。はじめは、どの国のものかを記そうとしたが、残念ながらごちゃごちゃになってしまったので諦めたと言う。発見場所がわからなくなったことで、これらのペーパーは作った匿名(アノニマス)の作者から、さらに一歩遠ざかることとなった。
★サイン入り
頁数 | 52頁 |
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収録図版 | モノクロ25点 |
判型 | 235 mm x 178mm、ソフトカバー *リサイクルペーパー使用 |
発行 | 2007年9月 |
限定 | 1000部 |
価格 | 6,200円(税込) |
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sold out


Hackney Flowersハックニー フラワーズ
Hackney Flowersは、Hackney Wickというシリーズ作品と写真集から発展しました。今回ギルは、Hackneyで採集してきた花や種、実などを、彼のスタジオで乾かし、潰し、同地区で撮った写真の上に配置して、撮影を行いました。また、写真をHackneyに埋めて掘り出すという、場所そのものを使って制作されたイメージもあります。同じ地域で採取されたものたちのつかの間のコラボレーションから、多層的なイメージが生まれました。さらに、花柄プリントのシャツやスカートを身につけたHackneyの人々をとらえた写真も、魅力的なスパイスを加えています。ロンドンのたった一つの地域から抽出された色や感情、リズムに圧倒される写真集です。
★サイン入り
頁数 | 114頁 |
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収録図版 | カラー65点 |
判型 | 286mm x 220mm、クロス貼り、ハードカバー |
発行 | 2007年9月 |
限定 | 3500部 |
価格 | ---円(税込) |
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sold out


Buriedバリード
この本に収められている写真は、Hackney Wickで撮影し、そこに埋めて制作しました。降った雨の量によって、イメージが地下に埋められていた時間は異なります。 また、写真が埋められた深さも、そのポジションのようにいろいろです。例えば、面と面を合わせたり、背中合わせにしたり、または、1枚で埋めることもありました。最初の写真の一束を埋めるとき、ある通りすがりの男性が私を見つけて、何をしているのかと尋ねました。 私は写真の埋められた場所を知られたくなかったというだけではなく、ほんとうのことを言えば奇妙に思われると考えて、イモリを探しているのだと答えました。そう言い終えてすぐに下を向くと、何と私の足元にイモリがいたのです。
掘り起こされた写真から、かつてのイメージはわかりません。そこには、私が魅力を感じたチャンスや驚きの一要素だけが紹介されています。この解き放たれた感覚と場所とのコラボレーション―こうして一枚の画に最後の仕上げをしてくれること―が、ちょうどいいと思います。きっと、場所の魂が跡を刻んでいるに違いないのです。
頁数 | 32頁 |
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収録図版 | カラー35点 *購入者が自分で埋める用のCプリント1枚付(スリップケース入り) |
判型 | 190 mm x 135mm、ハードカバー |
発行 | 2006年 |
限定 | 750部 |
価格 | 8,800円(税込) |
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Hackney Wickハックニー ウィック
Hackney Wickは、ロンドンの東、グランドユニオン運河、リー川、イーストウェイA106の間に位置しています。初めてここに立ち寄ったのは2002年の終わりごろ、看板広告の裏側を撮影していた時でした。すでにロンドンに9年間も暮らしていて、イーストロンドンはよく知っていると思っていたのですが、Hackney Wickには当惑させられました。自分の頭に中にあったロンドンの地図が、すっかり変わってしまったのです。
その日は日曜日で、昔はグレイハウンドのレース場として使われていたスタジアムで、マーケットが開かれていました。それは、見たことがないほどの巨大な規模でしたが、一目見ただけで、いくつかの植物の鉢を除けば、あとの物はスクラップ同然だとわかりました。贅沢品のマーケットではなく、沈まないように必死で生活している人たちのために存在しているように思えました。くたびれた白い小物、洗濯機や冷蔵庫の山、放置された建物からはがされた銅線やくず鉄、DVDのために家の外へと追いやられた古いVHSビデオの束・・・。その日、50ペンスでプラスチック製のカメラを買いました。レンズはプラスチックで、フォーカスも露出もコントロールできませんでしたが、すぐに、このカメラで写真を撮り始めたのです。それから2年以上、Hackney Wickに何度も何度も通い続けました。Hackneyは、長い間、世界中から移民や亡命希望者に避難所を提供してきました。この場所は、特にロンドンの多様性を反映しているように思えるのです。
7年間続いたマーケットは2003年7月13日に閉じてしまいました。通商委員会の検査官によると、盗品と模倣品であふれ返っていたという話です。マーケットが閉鎖して数週間後、2012年のオリンピック開催地の誘致活動の一環として、古いスタジアムの残りの部分は撤去されました。オリンピックは、新しい交通網や切望されていた生活インフラなど多くのよいものをこの地域に運んできました。でも、失ったものもあるのです。
Hackney Wickには、別の一面があります。ノイズやカオスから離れて、自然はどうにか自分たちの居場所を見つけているようなのです。運河や川、秘密の家庭菜園(この菜園の献身的な園芸好きにしか知られていない)は、多くの鳥や動物たちの住処になっています。近い将来、塵や埃に覆われてしまうでしょうが、そこは光り輝く隠れたパラダイスなのです。
★サイン入り
頁数 | 126頁+24頁(特別頁) |
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収録図版 | カラー116点 |
判型 | 216 mm x 216 mm、ハードカバー |
発行 | 2005年10月 |
価格 | 34,000円(税込) |
- Sold Out


Invisibleインヴィジブル
「ここに収められている写真は、私たちにある矛盾を見せてくれる。それは、作業員が目立つことで危険を回避できるよう着用している蛍光色の安全服が、実はむしろ彼らを見えにくくしているという事実である。Invisibleは、街がどのように機能しているかについて興味を持っている写真家による、最新のシリーズである。スティーブン・ギルは、ロンドンとその郊外の機能を守る、目に見えない人々を見せてくれる。この大都市が、誰もこれまで目を向けることも気が付くこともなかった複雑な時計―それは、ぜんまいで巻き上げられている―のように思えてくる。」
マーク・ハワース・ブース/Mark Haworth-Booth
★サイン入り
頁数 | 64頁 |
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収録図版 | カラー30点 |
判型 | 300 mm x 255 mm 、ハードカバー |
発行 | 2005年1月 |
価格 | 10,600円(税込) |
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sold out

Field Studiesフィールド スタディーズ
スティーヴン・ギルは、1996年から銀行のATM、道に迷った人々、広告看板の裏側、ロンドンとサウスエンドを列車で往復する人などを通して、イギリスのありふれた日常の場面をとらえてきた。彼のヴィジュアルアプローチは独特で、厳格なコンセプトを持ちながらも、被写体に対するシンパシーを備えており、Grantaやニューヨーク・タイムズマガジンなど広く評価されている。この写真集には、Audio Portraits、Cash Points、Trolley Portraits、Day Return、Road Works、Gallery Waeders、Billboards、Lostが収録され、ユーモア作家・テレビの映画制作家ジョン・ロンソン/Jon Ronsonによるエッセイが寄せられている。
頁数 | 256頁 |
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収録図版 | カラー137点 |
判型 | 220 mm x 170 mm、ハードカバー |
発行 | 2004年、Chris Boot |
限定 | 3500部 |
価格 |
- 現在、取扱なし

